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解説「アフガニスタン国際戦犯民衆法廷」(1)

「法と民主主義」374号(日本民主法律家協会、2002年12月号掲載)
法廷運動呼びかけ人のお願い 前田 朗(東京造形大学)

実行委員会発足

 10月20日、アフガニスタン国際戦犯民衆法廷(ICTA)開催を目指す同実行委員会が発足した。特別顧問にアメリカ元司法長官で湾岸戦争のブッシュ大統領(父)の戦争犯罪を裁く国際法廷を呼びかけ開催したラムゼー・クラーク(弁護士、IAC国際行動センター)。共同代表は、サラ・フランダース(IAC)と私である。事務局は、法律には素人の平和運動グループが結集した。呼びかけ人や賛同人を募り、2003年12月開催予定の法廷に向けて1年間余の<法廷運動>を開始した。
 ICTAの呼びかけは、本年2月17日の集会「アフガニスタンに平和と正義を!」で私が提唱したことに始まる。その後、3月に第1次戦争被害調査団がパキスタンへ行き、ペシャワール周辺のアフガン難民キャンプで戦争被害調査を行った。その報告は、アフガン戦犯法廷準備委員会編『ブッシュの戦争犯罪を裁く』(現代人文社)にまとめた。7月末から第2次調査団がフォロー・アップを行った。9月上旬に第3次調査団はアフガニスタンに入り、カブールとカラバーで調査を行った。
 
米軍の戦争犯罪

 カブールはまさに<歴史の廃虚>であった。特にカブール大学の南側の文教地区は内戦によって徹底的に破壊されていた。行けども行けども崩落したビル、潰れた家、倒壊した壁の連続である。その間を人々が歩いている。子どもたちが走っている。完全崩壊して跡形もない家もある。崩壊した家にもテントを張って暮らしている家族がいる。
 B52が投下した爆弾が直撃して家が完全崩壊し夫や家族8人を亡くしたアリファさんは、残された子どもを抱えて苦労している。とても小さな1部屋だけの借家に間借りしているが、いつまでもいられるわけではない。夫を亡くした女性はアフガンでは社会的地位を得られず、収入の手だてがない。NGOの援助で辛うじて食べているが先は見えない。
 隣家も崩壊した。子どもを2人亡くしたサヒーブさんは墓地を案内してくれた。緑の旗に囲まれた十基のお墓が、アリファさんの家族とサヒーブさんの子どものお墓である。緑の旗は戦争犠牲者の印だという。
 カブール西部の住宅地にはクラスター爆弾が投下された。小学校の隣にタリバンが出入りしていた小さな建物があったので、そこを狙ったのだろうが、あたりは住宅地である。クラスター爆弾のピースを拾った子どもたちが負傷した。イサヌラーくんは左足に重傷を負った。
カラバーでは、難民化の状況について聞き取りをした。カラバーには2割ほどのタジク人と8割のパシュトゥン人が居住している。カラバーにもタリバンの建物があったため空爆が始まり、モスクが破壊され60人の人々が亡くなった。危険になったためタジク人は徒歩で北のパンシール渓谷に逃げた。北部同盟が立てこもっていた地域である。難所を越えていくので途中の谷に落ちてなくなった人もいる。パシュトゥン人は南へ逃げた。カブールへ行ったり、さらにパキスタンへ難民となって逃げた人もいる。大量の難民化は人道に対する罪にあたる可能性がある。
 米英軍のアフガン攻撃には国際法上の正当化理由がない。自衛権の論理では説明できないし、国連憲章にも正当化理由がない。安保理決議は米英軍に攻撃を認めていない。アメリカはアルカイダ犯行説を主張したが、何1つ証拠を示していない。テロリストをかくまっているという理由で爆撃できるなら、ペルーは日本を爆撃していいことになる。
 
ICTA構想

 3度の調査を終えて、10月5日に東京、6日に大阪でアフガニスタン戦犯法廷キャンペーン集会を開催して、現地報告を行うとともに「アフガニスタン国際戦犯民衆法廷規程・草案」と「ブッシュに対する起訴状・草案」を和文と英文で作成・公表し、法廷の構想を提案した。
 第1に、ICTAは、民衆が主体となって呼びかけ、準備・開催する民衆の法廷運動である。もちろん法律家の協力なしには到底実現できないが、法律家にお任せになってしまわないように、実行委員会は平和運動グループからのボランティアで構成している。
 第2に、日本の反戦平和運動の一環である。自衛隊の空中給油という「参戦」を阻止し得なかった日本の運動の責任として法廷を開催する。
 第3に、日本から発信してアジアやアメリカの平和運動と連帯していく。すでにIACの協力を得られることになっているが、アメリカとアフガンの和解とアフガンの被害者の支援をしている「グローバル・エクスチェンジ」からも協力を得ている。
 そして、2002年12月から「同時多発法廷」ならぬ「連続公聴会」を開催していく。そのための「公聴会ガイドライン」も公表している。12月15日には第1回公聴会(東京)を開催し、その後、各地で連続的に公聴会を開催していく。公聴会は、アフガニスタン現地調査の報告、NGOやジャーナリストからの報告、国際法学者や政治学者の講演を柱に組み立てる。その記録を整理して、法廷の証拠として積み上げていく。
 アメリカの軍事戦略・外交戦略・石油戦略、自衛隊参戦の詳細な経緯、人道に対する罪や侵略の罪とは何か、戦争犯罪とは何か、米軍基地と性暴力、在日アフガニスタン難民の状況などを具体的に明らかにしていく。
 
呼びかけ人募集中

 ICTA法廷運動は、民衆主体の戦争被害調査活動、出版物やインターネット上の関連資料収集、NGOやジャーナリストの発掘、1年間にわたる全国各地での公聴会、公聴会へのアジア各国やアメリカからの参加、アフガニスタンからの証人の出廷など多彩な試みを繰り広げていく。報告会、写真展、ビデオ上映会なども続ける。この年末年始には第4次調査団を派遣する。
 そのためには多大の予算を必要とする。そこで実行委員会では、内外の平和運動・人権運動に呼びかけて賛同団体・賛同人を募っている。そのために現在、呼びかけ人をお願いしている。呼びかけ人はすでに百人を数えるが、例えば次の方々も名前を連ねていただいている。

 海勢頭豊(音楽家)、沢田亜矢子(女優)、日色ともゑ(俳優)、早乙女勝元(作家)、高岩仁(映画監督)、俵義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)、高橋哲哉(東京大学助教授)、新倉修(青山学院大学教授)、村井敏邦(龍谷大学教授)、伊藤成彦(中央大学名誉教授)、岡本三夫(広島修道大学教授)、土屋公献(元日弁連会長)、金城睦(弁護士)、五十嵐二葉(弁護士)、阿部知子(社・衆議院議員)、植田至紀(社・衆議院議員)、山内恵子(社・衆議院議員)、東門美津子(社・衆議院議員)、大出彰(民・衆議院議員)、円より子(民・参議院議員)、吉川春子(共・参議院議員)、井上美代(共・参議院議員)等。
 法廷運動はいよいよ本格的にスタートした。日民協会員の皆さんも、ぜひとも呼びかけ人となって、法廷運動を財政的にも法律専門家としても支えていただきたい。

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「アフガニスタン国際戦犯民衆法廷」実行委員会 The International Criminal Tribunal for Afghanistan